お兄ちゃんができました。

*お兄ちゃんとそのおまけ






「っ痛……!」


白いレースカーテンから零れる太陽の光が、私を照らす。

微かな眩しさを感じて寝がえりを打って布団を引っ張り上げた時、鋭い痛みが腕に走り私は飛び起きると腕を抑える。

しばらく痛みに耐えていた私は、治まるや否やに袖をまくりあげると無数の痣が出来ていることに気づいて嘆息した。

……あの野郎。ちょっとは手加減してよ。

浮かび上がるのは私の敵。ホー汰。

昨日。うっかり心の声を漏らし本能的な危機を察知して逃げ出した……が、家から三歩ほど出たところで窓から飛んで来たらしいホー汰に先回りされ、私は逃げることを諦めた。

彼らに捕まってからと言うもの、ホー汰は容赦なく私の腕をつつき痣になるだろうなぁ、とは思っていたけれど……。

転々と広がる赤黒い痣にめまいがする。

何これ。グロイ。何か新種の病気みたいになってんじゃん。

コレ絶対他人に見せらんないよ。

表情を引きつらせながら私は立ちあがり、かけていた制服を手に取ると私は黙々と着換え出す。

今が春だったから良かったものの、夏だったらどうしてくれたのか。

腕包帯ぐるぐる巻きだぞ。オイ。

ちょっとしたミイラ状態だぞ。……いや、ミイラとは違うか。

脳内でホー汰への愚痴をこぼしながら、制服に着替えいつも通り簡単に髪をとかし目を隠した前髪を下ろしたままで部屋を出ると、ばったりと美少年と出くわした。

彼は少し驚いたように目を見開いた後、にこりと眩しすぎる微笑を浮かべる。




「おはよう。ハル」

「…………。嗚呼! 志月くん。おはようございます」

「今俺のこと忘れてたね?」

「……め、滅相もございません」




図星をつかれて、私はスイッと視線をそらす。






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