お兄ちゃんができました。
私、アホだけど。そんな間違いは流石にしない!

そもそも、私鍵使ったじゃん。鍵開けてドア開けたじゃん。

まさか同じ鍵使っている家なんてあるわけないし!

あれ? じゃあ……コイツは何?

一人心の中で慌てていた私は、首をかしげる。

そうだよ。忘れかけてたけど……コイツ何?

何で私の家から出てこようとしてるの? 俺の家発言何?

私の頭の中で「?」が飛び交う中、怪訝な顔で私を睨みだした彼。

その表情を見て、私はますます混乱した。

彼の表情からして、嘘をついているようには到底思えない。

もしかしたら、演技をしてるのかもしれないけど……こんなうまい演技ある? 役者じゃん。プロじゃん。

こんな演技上手い泥棒いる? ……ん? 泥棒?

ぽつりと、無意識にその単語が出てきて私はバッと勢いよく彼を呼びさした。




「そうじゃん! 泥棒だ!!」

「……はぁ?」

「……。あ」


目の前の彼が、ますます険しい顔で私を睨む。

一方の私は、彼を指差したまま固まった。

全身から冷や汗が吹き出し、音を立てて血の気が引いていく。

や、ヤバい。やってしまった……!!






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