お兄ちゃんができました。
小さな時からの私の悪い癖。

思ったことをすぐに口に出してしまう。しかも、何故か失礼な言葉ばかり。

しかも、今日は行動付きと来た。

なんてこった。私、この視線で逝けそうだ。

私と美少年の間に、気まずい空気が流れる。

額に浮かんだ嫌な汗を拭いながら、この状況をどうしようかと考えていると、不意に誰もいないはずの家のリビングのドアががちゃりと、音を立てて開かれた。

そこからひょっこりと姿を現したのは、迷惑そうな顔をしたマイマザー……と、見知らぬ紳士。



「ちょっと、陽花(ハルカ)。さっきからうるさいわよ!」

「……。いやいや、うるさいじゃないっつの。この美少年と言いそこの紳士と言い、何? 母さん今度は何拾って来たの?」




呆れ交じりのため息をつき、私は前髪の隙間からお母さんを見る。

うちの母は、何かと厄介なものを拾ってくる癖がある。

ある時は、ゴミ捨て場で捨てられた子猫を。

ある時は、傷だらけの犬を。

ここまでなら、まだいい。ただの心優しい母で終わらせる。

だけど、うちの母はネコやイヌでは飽き足らず、フクロウや子猿など明らかに動物園から逃げ出してきただろう動物まで拾ってくるのだ。

その癖が、あろうことか人間を拾ってくるなんて誰が想像できただろう。

ため息をついて、私は紳士と美少年を順番に見た。




「何? この人たち生き倒れでもしてたわけ?」

「ちょっ! アンタ何言ってるのよ! 違うわよ! 拾って来たんじゃないわ! この人はねぇ、今日からあなたのお父さんになる人よ! その子は、お兄さん!!」

「……。は?」




オトウサン? おにいさん?

なにそれ? 私のお父さんは確か私が3歳のときに交通事故で死んだはずだけど……。

てか、私一人っ子なんだけど……。



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