【短編】疾風恋心
それでもウチのキャプテンは諦めなかった。
あーあ…最初からそんなに飛ばしちゃって…。
後半もたないよ…。
200Mくらいを走ったところで、キャプテンがバテ始める。
そして…。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」
女子の叫び声と共に、
林クンがキャプテンを抜いてトップに躍り出る。
…こんな時、
私も林クンと同じクラスだったら、一緒に林クンを最後まで応援してあげたいけど…。
運動神経ゼロの人でも
最後の体育祭くらいは興奮して、自分の学級を応援したくなるのは当たり前。
だから私は
「キャプテン頑張れぇーっ!!!!!」
と、これまでに無いくらいの大声で叫んだ。
キャプテンの表情が辛そう。
このままだと、
負けるコトは、誰だって予想できる。
残り50Mの時、
私は心の中で奇跡を信じた。