【短編】疾風恋心




ちゃんと朝起きてからの行動を一から思い出す。


そして私の思い出し作業もラストスパート。






…400M走で林クンが走っているところを思い出す。




鮮明に蘇るつい数分前の出来事



………………。







『キャプテン頑張れーっ!!!』


『林クンが転べば……』







あ…………。





林クンが転んだ理由。





それが私の小さな浮気。







「…思い出したみたいだな。」




隣で私の表情の変化に気づいた林クンがようやく声をかけてくれた。






「…ごめんなさい…。
ついアツくなっちゃって、あんなこと……。それに私、林クンが転べばいいとか思った…。」



自分の発言だけじゃなく、その時私が心の中で思ったことも素直に言った。




「言い訳はいいよ。
さっき言ったろ?自分のクラスを応援するのは仕方ないし、


…俺が勝手に嫉妬しただけだから。」







え…………。






しっと?





私が想像していた林クンのイメージを壊すかのようにいきなり言われた意外な単語に


私の口はポカーンと開いた。






林クン、嫉妬するんだ……。



いや、したとしても「嫉妬した」なんて言うとは思わなかった。








「…素直だね?…嫉妬したって言うなんて…。」





「別に。俺はいつでも素直に発言するし行動するよ?」





サラッと顔を赤らめることもなく林クンはまた私のイメージを壊す発言をした。







「でも……まさか芽衣子が"転べばいい"まで思ってたとは……。」






……はい?






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