秘めた想い




「ねぇ…?」


佐々木の背中に問いかける


「ん?」


佐々木は手を止めずに返事をする





盗み聞きしてることはバレちゃってるんだし、どうせなら聞きたいこと聞いちゃおう。




「…………なんで、告白…断ったの?」





何秒か間があってから


佐々木はゆっくり振り返った




「聞いただろ。………好きなやつがいるからだよ」



さらさらな前髪の隙間から、佐々木の真剣な瞳が見えた。



そのとき風が吹いて、


木のざわめき

校庭から聞こえる部活動の音や人の声





たくさんの音が耳を邪魔したけど




佐々木のいつもより少しだけ低い声は確かに聞こえて、


しばらくあたしはその瞳から目が離せなかった。




< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop