秘めた想い
「ねぇ…?」
佐々木の背中に問いかける
「ん?」
佐々木は手を止めずに返事をする
盗み聞きしてることはバレちゃってるんだし、どうせなら聞きたいこと聞いちゃおう。
「…………なんで、告白…断ったの?」
何秒か間があってから
佐々木はゆっくり振り返った
「聞いただろ。………好きなやつがいるからだよ」
さらさらな前髪の隙間から、佐々木の真剣な瞳が見えた。
そのとき風が吹いて、
木のざわめき
校庭から聞こえる部活動の音や人の声
たくさんの音が耳を邪魔したけど
佐々木のいつもより少しだけ低い声は確かに聞こえて、
しばらくあたしはその瞳から目が離せなかった。