恋 時々 涙
●放課後の図書室
図書室は北校舎の3階にあって、グラウンドがよく見える。
図書室に入ると、夕陽が差し込んで赤く染まっていて
静かな図書室には私の足音だけが響く。
「…えっと」
紙に書いてある本を探す。
「あった!」
一番上の棚に並んでいる本に手を伸ばすが届かない…
「…ん、あと少し…あっ」
バランスを崩して、体が後ろに倒れる。
「おっと、大丈夫?」
誰かに肩を支えられ、倒れずにすんだ。
慌てて振り返ると、背の高い男子生徒が立っていた。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、この本?」
ニコっと微笑むと、その人は楽々と本をとった。
「はい」
「ありがとうございます」
黒縁眼鏡がよく似合っていて、ふわりとした黒髪。2年には見たことのない顔だから…
先輩かな?
「2年の子?」
「あっ、はい!」
「突然ごめんね、なんか」
「全然っ!逆にすみませんでした、勝手に倒れちゃって…」
「大丈夫大丈夫」
髪をくしゃくしゃっとしながら微笑む。