恋 時々 涙
体育祭のとき、
向日葵のような笑顔で競技をしていた子に目が行った。
その子は、周りの子達よりも小さくて、細い体で。
だけど笑顔は誰よりも明るかった。
この時から、その子が気になって。
いつか話しかけてみたいと思っていた。
だけど2年のその子とは棟も違うし、共通することなんてなかったから話すことすら、会うことさえほとんどなかった。
たまに職員室や廊下ですれ違うだけで、話しかけることはやっぱりできなかった。
話しかけてみたいと思っているものの、名前すら知らない相手から急に話しかけられると戸惑うだろう。それに…
悪印象を与えてしまうかもしれない。
だけどあの日…
借りていた本を返しに図書室へ足を運ぶと、本棚に必死に背伸びして、本を取ろうと頑張っている子がいた。
1年生かと思い、取ってあげようと近付いた。
すると、その子がバランスを崩したから支えた。
この時にやっとわかった。
支えた子は、自分がずっと話しかけてみたかったあの子だと……。