恋 時々 涙
『私、何かしたかな…?』
いろんなことを振り返ってみるけれど、そんなことをした覚えは何ひとつ思い浮かばなくて、まず私は、拓海にそんな態度をされるようなことはしていない。
…はず。
「怒ってる?」
「怒ってない」
素っ気なく私に言い捨て、行ってしまった。
「…何アイツ」
「ケンカー?」
私と拓海のやり取りを見ていたのか、りっちゃんが首を突っ込んできた。
「うぅん。別にっ…」
「ふーん…。なんか珍しいね、拓海とケンカなんて」
「ケンカじゃないよー!ほら!テーブルに戻ろうよ」
また少し不満ぎみなりっちゃんだけど、拓海が気になってそのことを気にする余裕なんてなかった。