恋 時々 涙


砂浜で少しみんなと遊んでいると、もう10時をまわっていた。

もう夜遅いということで今日は帰ることになった。


バスに乗り込んで、5分くらいすると半分くらいの人がバスから降りて、また5分くらいするとりっちゃんも降りた。




バスに残っているのは…





私と拓海だけだった。




皮肉なことに私と拓海は降りる場所が一緒。






苦い空気が漂う。


いつもなら話していただろうけど、今は言葉も交わさない。



拓海はただ窓の外を眺めていて、斜め後ろの席に私が座っていることも知らないように感じられた。




だけど、不機嫌な理由を聞くには絶好のチャンス。



聞こうか聞くまいか悩んでいると、先に沈黙を破ったのは拓海だった。





「お前、3年の折原京太ってやつと付き合ってんだろ」



突然沈黙が破られたことと拓海の質問に驚いてなんと言うべきか考えていると、






「そうなんだろ?」


拓海が振り返って、私を見た。




その顔は真剣で、どこか怒っているようだった。




「どうして…?どうして急に付き合ってるとか言うの?私は先輩と付き合ってなんかないよっ」


「付き合ってもないやつと部活サボってまで図書室で会ったり、試合見に来たりすんのかよ」








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