恋 時々 涙
言葉が出なかった。
"部活サボってまで会ったり"?
意味がわからなかった。
だけどすぐにあのときのことだと理解した。
「私がいつ部活をサボったって言うの?私はサボったりなんかしないよ!それに図書室で先輩に会ってたんじゃない。たまたま会って本を取ってもらったんだけだよ?」
「やめたほうがいいぜ?そうゆう言い訳」
まるで私のことを信じようとしない拓海。
「意味わかんないっ!!それより私と先輩が図書室で話してたって、拓海は見てたの!?」
「聞いたんだよ」
「誰にっ!?もしかしてりっちゃん!?」
「違げぇよ。うるせぇな…」
…え
"うるせぇ"って…。
じわっと目頭が熱くなる。
「…ってい」
「は?」
「最低っ、バカッ!!意味わかんないっ」
バンっとバスの下車ボタンを押した。
すぐに止まったバスから、逃げるように1人で降り、バスとは反対方向へと走り出した。
ここがどこなのかも知らないのに、ただただ走った。
溢れそうな涙を必死に堪えて。