恋 時々 涙
●バスを降りて
ずっとずっと真っ直ぐ走った。
真っ暗な道をひたすら走った。ここがどこなのかなんて考えてすらいない。
ずっと我慢していた涙が一気に溢れだした。
「…っ、ぐすっ、うっ」
涙で前がよく見えないまま、それでも走った。
頭が真っ白で、何も考えられなかった。
だけど…。
まだ心の隅で、拓海が追いかけてくるんじゃないかって期待している自分がいる。
そんな自分を追い払うように必死に走った。
だけど、こんな状況で真っ暗な知らない道を走っていた私がバカだった……
ブーッッ!!ブーブーッッ!!
すごいクラクションの音が響き、はっと前を見たときには…
もう遅かった。
キュキューーーーーーッッッ!!
高いブレーキ音と同時に、体に大きな石が落ちてきたような反動が走った。