恋 時々 涙
おばさんに今日は帰るように言われて、帰ることにした。
暗い道をとぼとぼ歩いた。
この大通りに出る道は、優とよく一緒に帰った道。
『拓海っ!!』
満面の笑みで俺に話しかける優が一瞬、現れたように見えてハッとした。
だけど…。そんなはずない。
「……っ」
グッと拳に力が入って、また目頭が熱くなったから夜空を見上げた。
たくさんの星が瞬いている。
きっと綺麗なんだろう。
だけど
今の俺は何も感じなかった。
頭が上の空で、
ただ空に何かが浮かんでいる。
その程度にしか感じられなかった。
バスケをしている姿や喜んでいる姿。とぼけて笑う顔や、怒った顔…
向日葵みたいにキラキラした笑顔。
優のいろんな姿が本のページみたいに思い出されていく。
最後に見た優は…
泣いていた。
俺が泣かせた。傷つけた…
優の泣き顔が頭に焼き付いたみたいに離れない。
"あの時に戻ればいいのに"
こんなにも、こう強く感じたことはなかった。
自分を責めて、責め続けても何も答えは出ない。
そんな自分が情けなくて、恥ずかしくて、バカバカしくて…
また一段と自分を嫌いになる。
『泣かない。何があっても絶対に』