【死場】~連続変死ミュージカル~
「的場ヒロ」
呼ばれた主は、肩をビクリと震わせた。
恐る恐る顔を上げると、山井が真っ直ぐにこちらを見ていた。
周囲の目もこちらを向いて、自分の様子を窺っている。
的場はゆっくりと口を開くと、
「すいません・・・。棄権してもいいですか・・・?」
消え入りそうな声でそう言った。
「・・・そうか」
山井は短く返事をすると、
「なら・・・的場の代わりに、誰か立候補する者はいないか?」
的場の申し出を受け入れてくれたようだ。
だが、誰が立候補などするだろうか?
相変わらず不穏な空気が漂う中、スッと一人の生徒が手を上げた。