【死場】~連続変死ミュージカル~
稽古時間は固定ではなく、昼休憩を挟む今回は、弁当が支給された。
道具部屋から長机と椅子をメインルームに運んで、そこで食べる。
稽古が数回目ともなれば、仲良しグループは大体出来上がってしまっていた。

「どうしたの?元気君」
なかなか席に着こうとせず、そわそわと視線を巡らす友達に、仲良ともが声を掛ける。
「あぁ・・・、なんでも・・・」
『ない』と言おうとした元気が、ふいにホッとした表情になり、
「なんでもないよ。食べよっか」
ともに笑顔を向けた。
元気の視線の先を追っていたともはクスッと笑うと、
「良かったね。歌澄君、仲間に入れてもらえて」
「えっ?」
「気にしてたでしょ?」
「あぁ~・・・。うん」
元気は照れくさそうに頭を掻いた。
どこに座ろうかとオロオロしていた歌澄に、萌川愛夢が声を掛けたのだ。

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