〖短編〗2度目のサヨナラ。
君は泣かない
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───…
『宏斗、聞いてよ~
今日、数学のまっちゃんがさぁ~』
数学のまっちゃん、とは、数学の先生のこと。
でも、そんなのはどうでもよくて。
「…。」
『ねぇ、宏斗ってば!!』
宏斗は、最近元気がない。
だから、あたし、小鳥遊 瑠羽(タカナシ ルウ)は、葛乃葉 宏斗(クズノハ ヒロト)を励ますために、登下校無理矢理ついて行っている。
宏斗は、いつもうんともすんとも言わない。
ただ、黙って歩くだけ。
『宏斗…』
宏斗が落ち込んでる原因は、もう分かってる。
幼なじみが、失踪したからだ。
その幼なじみが女の子ってことしか、あたしは知らない。
だって、あたしは同じ学校ではないから。
学校が違うんだ、宏斗とは。
それでも、明らかにいつもと違う宏斗を見て、ほっとけなかった。
だから、こうして毎日付きまとってるわけなんだけど…。