〖短編〗2度目のサヨナラ。
『宏斗、今日も口きいてくんなかったなぁ…』
いつもの別れ道で、宏斗と別れたあと、あたしはポツリと呟いた。
“バイバイ”とか“また明日”なんて言っても、いつも宏斗は振り向きもしない。
そのままスタスタと、歩いていくだけ。
下を向きながら。
その背中を見て、あたしは眉をひそめた。
そしてまた、ポツリと呟く。
『I want you to spew out your sorrow...
…分けて、ほしいのに。
宏斗の悲しみ。
そしたら、ちょっとは宏斗も楽になるかもしれないのに…
ちょっとでも宏斗が笑えるかもしれないのに…
宏斗の笑顔を待ってる人が、いるのに…』
あたしも宏斗と同じように、うつむいて帰った。