〖短編〗2度目のサヨナラ。
『蓮…
宏斗、蓮と友達ってホントだったんだね。』
そう宏斗に話しかけても、宏斗は机に伏せてるだけ。
宏斗…あたしのこと、ちゃんと考えてくれてるのかな。
「……なぁ、蓮。」
「…、なんだよ。」
「俺昨日…《アイツ》が泣いてる気がして。
無我夢中で走ったんだ。そんで、気付いたら赤信号渡ろうとしてて…」
昨日のあのこと、蓮に報告してる…
もしかして、伏せてるからあたしがいることに気付いてない?
でもさっき、声かけたのに…
聞こえなかったのかな。
まわりザワザワしてるし。
「それで…まぁひかれなかったんだけど。
俺自身、ひかれるなーって、思ったんだよ。
そんで、同時に思ったんだ。
あー、《アイツ》が呼んでんだって。」
「宏斗…」
「俺、分かってた。
でも、どうしても受け止めたくなくて…
なぁ、蓮。
《アイツ》は死んだんだろ?」
宏斗が自分の服の裾をギュッと握ったのが分かった。
宏斗…今、必死に向き合おうとしてる。
その辛そうな声に、思わずあたしの目に涙が浮かんだ。