うさぎ姫とおおかみ執事
この場で始めて、父上が微笑んだ。 

「なに、お前なら大丈夫だ。何よりこの国の国民は、お前のことが好きだからな。お前も、この国のうさぎたちが好きだろう?」


「うん…。」

「好きなものを守りたいという気持ちがあれば、それでいい。一国の王に一番大事なこと。愛し愛される存在であることだ。覚えておきなさい。」 


父上の言葉は重く、そして愛情深かった。 
優しい言葉に、あたしの緊張と動揺が治まってゆくのを感じた。
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