うさぎ姫とおおかみ執事
大広間の窓から、ラクティス大国の派手な馬車が五台ほど。 

こちらに行進してくるのが見える。 
若き王子を一目見ようと、うさぎたちが大勢むらがっているようだ。 


ローズガーデンで一息つく暇がなかった…
亡きお母様がくれたあのローズガーデンで、 

あたしはレアに初めて会ったんだよね。 

「ラヴィ姫、怖がることも緊張することもないです。姫として、ここに堂々としていることです。」


レアがあたしに優しく笑いかける。 
…どうしてこんなに安心するんだろう…。 


城中に、高らかにラッパが鳴り渡る。 


ー来た。 
深呼吸すると、あたしは胸をはった。
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