うさぎ姫とおおかみ執事
つぶやいて顔を上げると、切なげな目をしたレアの姿が飛び込んできた。 

「その話はやめましょう。ラヴィ姫。」 


「レア、あたしは辛くはないんだぞ?母上が亡くなったのはあたしが五歳の頃…母上の記憶なんて、ほとんどないんだからな。変な気は使わなくていいー。」


「姫は強がりですな。」


レアがまた笑った。 
そんな切ない顔、しなくていい。 
哀しげな顔、しなくてもいいんだ。
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