〝好き〟の間違い探し
「ちえはブッシュドノエル食べたことないからそっちがいいなー」
「じゃあそっちにしよっか」
まさに鶴の一声。
ちえの発言で俊介が即決した。
「よっしゃきたーーー!」
「うわぁあああ」
ちえ様様や、と思いつつニヤついていると、達郎が死んだように動かなくなる。
「ケーキひとつで大袈裟やなぁ」と言うと……、あ、復活した。
「黙れこしあん!」
「こしあんちゃうし、まずあたしは粒あん派や!」
「俺はこしあんが好きだ!」
「は⁈」
こしあんってつまりそれは……どっちの意味やねん⁈
顔を真っ赤にしたまま固まるとなんで返事が返ってこないんだと言いた気な表情をしている達郎。
その後ハッとして、
「ばっ、ちげぇよお前のことじゃねぇし!」
「わ、わかってるわ!」
そんなん知ってるもん。
咄嗟にびっくりしたせいやし。
最悪、最悪。
ほんまコイツ嫌や。
紛らわしいこと言いよってからに。