〝好き〟の間違い探し
ぐはっ、と達郎が残念な声を出す。
それは、あたしの必殺グーパンチが達郎のお腹にクリティカルヒットしたせい。
「うるっさいなぁ! ほっといて!
言うただけやし、あんたなんかにして貰わんでもええねんから!」
お腹を抱えてうずくまるコイツに情けは無用や。
ざまぁ!
肩を怒らせて、ズンズン歩く。
ほんまムカつく、うっとい、きしょい、最悪っ。
これやから達郎は達郎やねん!
「ぶはっ」
後ろを振り向けば、しゃがんだまま膝に肘を乗せて頬杖をついている達郎。
吹き出して、思う存分笑った後。
楽しそうに、にこーって笑った。
「放課後、制服着替えた後な。
5時に迎えに行く」
そう言って、軽やかにあたしを追い越す。
ふんふん、と鼻歌なんか歌っちゃってもう。
「……うん」
マフラーをぐいーっと上げて、顔を隠した。
あたし、幸せすぎて死ぬかもしれへん。