〝好き〟の間違い探し
「達郎は彼女を家に呼ぶのが恥ずかしいんだよな」
吐息のような俊介の発言。
達郎ひとりだけが焦り出す。
「俊介お前、余計なこと言ってんじゃねぇよ」
顔をしかめて、でも真っ赤で。
え、これ、俊介に殴りかかるんちゃうか。
「なぁ、俊介。それどういう意味よ。
あたし達郎の家行ったことあんねんけど」
「それはさ、」
「あああああうるせぇええええ」
キーン。
耳めっちゃ痛いやないの。
ためらい、躊躇……ってか優しさが足りん。
「わーったよ、俺の家でパーティーな!
帰ったら訊いてみるから!
だからもうなにも言うな!」
「は⁉︎」
「黙れこしあん!」
「はぁ⁉︎⁉︎」
あたしの名前は道越 杏奈やって初めて会った頃から言ってんのにまだ言いよるか。
「なんやねんお前! アホ太郎が‼︎」
「達郎だし!
大体、勝手に『つ』抜いてんじゃねぇ!」
うわあああっと文句の言い合い。
暴言も出るのなんのって。
最初は座っていたはずのあたしも気がついたら立ち上がって、隣におったたつろ、……いや、太郎を睨みつけている。