〝好き〟の間違い探し
手持ち無沙汰で雑貨屋さんのマグカップを持ち上げる。
……あかん、1000円は高い。
そっと戻して、ため息。
あたしらって、なんてあっけない終わりやったんやろ。
別れるの嫌やって言ってくれて嬉しかった。
でも困るわって思ってたはずやのに、あの日の放課後、あたしはずっと自分の席で座っていた。
迎えになんて来ーへんの、わかってたのに。
ちえたちとの話が終わって、先に帰って貰って。
そん時にはすでに達郎が学校おるわけなかってんけどな。
落ちていく太陽。
気配のなくなる校舎。
冷たくなっていく空気。
全部、哀しかった。
あたしはきっと、あの日も達郎のことを待っとった。
もし、もしも達郎が来てくれてたら、あたしは────、
「なんて、な」
こんなもしも話なんて虚しいだけや。
未練タラタラ、嫌んなる。
付き合ってるのに片想いで、素直になんかなられへんくても、幸せやった。
でも、それもまとめてみんな、あたしが今苦しい理由になってしもた。