〝好き〟の間違い探し
上靴入れに、手提げ、スクールバッグ。
走るのに邪魔なものをトラップのごとく落としていく。
達郎が引っかかると思ってるわけやないけど、これで距離稼げたらな、って。
「大体お前机の中にクリスマスカード置くだけってなんなんだよ!」
……は⁈
待って、なんであたしってバレてるん⁈
息が辛くなって、声が出ない。
頭ん中、ぐるぐる回る。
「友だちとか言うくせに俺のこと避けてきて、でもなにも書いてないカードはくれて、」
自分の足が絡まる。
角を曲がったところで上体がぐらり、揺らぐ。
「そんなのもう、諦めらんねーじゃん!」
べしゃり。
崩れ落ちるように、あたしの体は倒れた。
冷たい廊下とあついあたし。
体のあちこちを打ちつけて、めっちゃ痛い。
体を起こすことも出来ずにいるあたしの前に、影が落ちる。
「捕まえた」
そう言って、達郎は泣きながら笑った。