ぼくのモナリザ

ひまわり

「きゃー!健ちゃんつめたぁい!」

日差しの強い8月中旬、海辺で騒ぐ茶髪の若者たち。
胸の膨らみを強調しまくった女子。
派手なショッキングピンクのビキニを身にまとい、
逞しい褐色男子と水を掛け合うギャルこそが、噂のエリである。

そして僕は、それをパラソルの下でぼーっとみていた。

「あほや。こんなんあほすぎる。」

ぼそっと呟いてカルピスを一気飲む。
僕はあほや。こんな青春くさいことまともにしてるなんて、あほすぎる。
あほに付き合うてたら、俺の夏休み、冴えない美男子で終わる!

「な~に會村くん、泳げぇへんの?」

隣にいる純ちゃんがすり寄ってきた。
お胸の谷間に右側の二の腕が挟まれる感覚。
なんやこのムニムニ。ほんまにかぁちゃんの脂肪と同じもんでできてるんか。

「お、泳げへんのちゃう。
 健介とエリちゃんのイチャイチャを見んのが今日の目的みたいなもんやったから。
 健介、彼女できてもすぐ別れてもうて、ちゃんと仲良うできてんのかーって心配やってん。」

ははっとにこやかに答える友達思いの僕。
しかしながらこれは嘘や。

「そうなんや!會村くん、優しいんやなぁ~。」

ほんまはサメとクラゲが怖いだけ。
海=サメ・クラゲは、僕の中の海という存在にはつきものである故、
こんな恐ろしい場所、足を踏み入れた瞬間食われると思ってる。

「優しいんちゃうで?
 友達には幸せになってもらわなあかん。せやろ?」

僕、最高の笑顔を純ちゃんにお届け。
純ちゃんのハートも灼熱のビーチでとろりんちょや。
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