年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「……三十路三十路言わないでよ、まだ28だし」
私はマグを見つめた。湯気が意味もなく立ち上る。ゆらゆらしては消えていく。由也くんとの関係も湯気のように消すべきだろうか。
「長谷川に気持ちがあったにせよ、ヤるのはオカシイだろーが。いや、気持ちがあるなら尚のことだろ」
別れを告げた分際で誠意がなさ過ぎる、俺ならぜってーそんなことはしねえ、とかブツブツ呟いている。大体こんなとこで俺様コーヒーを味わうような輩が大企業御曹司の気持ちが分かる筈ないし。
「また会うのかよ」
「分かんない」
「分かんないじゃなくて、ちゃんと別れろよ!!」