年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 いつものように午後は外回り。出来上がった新商品のサンプルをコンビニ本社に配って回る。冬向けの商品、出来立てあったかプリン、販売するときに10秒チンしてホカホカにして提供する。そこそこ好評で置いてもらえそうだった。いつもなら好感触に浮かれるのに足取りは重い。由也くんは今頃どうしてるだろう。策に四苦八苦してるだろうか。何も出来ない自分が虚しくなる。

 一度会社に戻り、今日のログを記入して退勤する。ぼーっとしていて無意識に着いたところはあの橋だった。


「何やってんだろう、私」


 今夜もカップルだらけ。人目はばからずハグしたりキスをしたり。昨日、由也くんとそうしてたか、と思い出す。由也くんが好きとか欲しいとか考える間も無く、無意識に求め合うというか。本能で。鎌谷の言うようにだらし無いのかもしれない。プライドが無いのかもしれない。今だってこうして橋の上にいるのは、もしかしたら由也くんと会えるのを期待して来たからだろうし。しばらくぼんやりしていたけど、由也くんは来る筈もなくて、私はトボトボと帰宅した。
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