年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「もしもし。綾香さん?」


 いつもの声だった。出てくれたことに、そして呼び方が苗字でないことにまた胸を撫で下ろす。


「おはよ。由也くん」
「すいません、メール返信してなくて」
「あ、いいよ。トラブル処理は?」
「何とか片付きそうです」
「そう、お疲れさま」
「はい……」
「……」


 沈黙する。困ったときにはおはヨーグルトとかお疲れさマンゴーとか、親父ギャグをかます私がまともな会話しか出来ない。

 何をどう伝えよう、営業で培ったトークで説得すればいいものを、こういう時に限って出てこない。そうだ、こんなときは日本人共通の話題だ!


「い、いい天気だね」
「曇ってますよ?」


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