年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 由也くんはそこまで言われて私を送るかどうか迷った。でも“ポイ捨て”するのは事実、せめてタクシー代は出そうと後を追った。でも私は手渡された1万円札を由也くんの胸に叩き付けて返した。


『お金で解決するの? ボンボン由也!』
『綾香さんっ』


 私はまた涙を零し始めた。勿論由也くんはそんなつもりで現金を渡した訳じゃない。でもパニックに陥っていた私は分からなかった。


『どこかの令嬢とお幸せに。由也くん、由也くんのこと大好きだったから、由也くんのために由也くんのこと忘れてあげる。だから由也くんも私のこと忘れて!』


 私は料亭を出るとトボトボ歩き出した。でも覚束ない足取りの私はヨロヨロと車道に出て、車に轢かれそうになる。由也くんは私を無理矢理車に乗せ、代行を呼び、アパートまで送った。


『もう顔も見たくない。コンビニ担当にはならないでよねっ』


 私は車を降りるとバタンと壊れそうな勢いでドアを閉めた。

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