年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 あれからひと月ほどしてドレスも仕上がった。少し痩せたのかドレスが緩くてお直しをしてもらった。ドレスサロンの店員さんは挙式当日も付き添ってサイズを微調整すると言ってくれた。私の痩せ方がひどく、挙式までの1カ月にまた痩せてサイズが合わなくなるのを心配してだった。


「せっかくのドレスだから、そうしてもらえると嬉しいです」
「綾香さん……?」


 私が店員さんにお願いすると由也くんは驚いた。披露宴をしないことを気にして伏せていた私がそんなことを言ったからだろう。


「うん、吹っ切れた。由也くんが作ってくれたドレスだもん。綺麗に着たいし。あの、実は披露宴はしないんです、事情があって二人きりで……」


 自分でも不思議だった。いずれ不倫になるのをひた隠しにしていたのに、少しだけ堂々としている。私が決めた人、私が決めた道……。恥ずかしくなんかないって。そりゃ、会社や家族親族には言えないけど、出来るだけ胸を張っていようと思った。

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