年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
翌朝、私は早くに起きた。別に目覚ましを掛けていた訳ではなく、暖房が効いていて暖か過ぎたのと乾燥して喉がカラカラして目が覚めてしまった。
ベッドから下りて窓辺に行く。分厚いカーテンを指で掻き分けると白々と夜が明けるところだった。西の空はまだ群青色なのに東にある山の稜線はくっきりとして、その上に続く空は白を通り越して金色に輝いて、太陽はすぐそこまで来ているのが見て取れた。夜明けの来ない夜は無いって言うけどそれは地球上のお話で、私は確かにこの瞬間に夜明けを感じたけどそれは別世界へ足を踏み入れて見た夜明けだったように思う。踏み外した階段から知らない地下部屋に突き落とされて、その僅かな隙間から見えた僅かな明かりを夜明けだと勘違いしているような錯覚。