年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
由也くんは望遠鏡を組み立て終えると窓辺に置いた。夕暮れの景色、まだ星は出ていない。それでも由也くんはレンズを覗いた。何かの看板に焦点を合わせてるらしい。望遠鏡本体に付いてる覗き穴みたいなのと交互に覗いてツマミをクルクルと回していた。
私が由也くんの部屋に入れないのは諦めるとして、いつか由也くんに婚約者が出来て結婚するとなればその女性は入るだろう。何事もなく、何の躊躇いもなく、私への遠慮もなく堂々と。壁に貼られた星の写真を見て綺麗ですねとか言うんだろう、並べられた望遠鏡に触れるんだろう。
由也くんは焦点が合わせられたのか満足げに望遠鏡から離れた。土星が衝だから夜になれば輪が見えます、と私に話し掛けた。にこにこして結婚したことも私が部屋に入れなくて悶々としてることも、何も無かったみたいだった。