年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)


 天文学的な数字とは言うけど本当にそうだ。何だか夢の中の話みたいで。


「じゃあ地球から一番近い恒星」
「太陽?」
「そう。太陽までは1億5000万キロメートル。時速300キロメートルの新幹線なら57年」
「57年……」


 やっとリアルな数字になる。57年後、私は生きてるだろうか。生きていれば80過ぎ。


「お尻が痛くなりそう。リニアモーターカーの開業が待たれるね」


 私がそう言うと由也くんはケラケラ笑う。リニアモーターカーなら30年位には短縮されるね、と言いながら、望遠鏡の覗き込んでいた私を後ろから抱きしめた。
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