年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 由也くんの言う普通の生活は親戚関係だけじゃない。幼少の頃から社長子息として扱われ、自宅の来客におべっかを言われたり、悪さをしても頭ごなしに叱る大人も回りにはいなかった。由也くんの言う普通のことというのは、近所のオジサンに怒られたり近所の幼なじみや従兄弟とじゃれあったり、そんなことだった。勿論疎遠だったお爺ちゃんちに泊まりに行くなんてことも憧れだった。


「ふうん。親と絶縁して起業だなんて、由也くんお父さんに全然似てないじゃん」
「そうですね」


 父親はかなり気性の激しい性格。でもそのくらいの気の強い人間でなければ僅か一代であそこまで社を成長させることなんて出来なかったかもしれない。


「僕はどちらかと言うと祖父似で……」


 大学生になった由也くんは普通の生活がしたいとそんな自分の夢に邁進すべく勉学に励んでいた。ところが。


『許さん!』


 ある日大学から帰ってくるとリビングから怒号が聞こえた。父親の。


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