年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「由也くんの赤ちゃん……だ」
心臓がバクバクするのが聞こえた。勿論赤ちゃんの心臓の音じゃないと思う。でもまるで、ここにいるよ!、と言わんばかりにうるさく音を立てる。
「う……うえ~ん」
何故だろう、急に込み上げてきた。お腹のなかに赤ちゃんがいると想像するだけで涙が出て来て止まらない。必死に止めようと頑張るけど溢れてくる一方で。多分、私は嬉しいんだと思う。愛する人との間に出来た命、いらないなんて思う人間なんていない。理屈じゃない、本能なんだろう。
「う、ひっく……。男の子かな女の子かな」
性別はもう決まってる筈。男の子なら由也くんに似て優しいだろうか、女の子なら私に似てお転婆だろうか。今どのくらいの大きさだろうか、生まれてくるならいつ頃だろうか……。