年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)


「思い出さなくちゃ駄目です」
「え」
「綾香さんは今辛いと思います。きっと僕以上に苦しんでると思う」
「なら」
「どんなに辛くても思い出さなかったら赤ちゃんが可哀相でしょう? 忘れられたら赤ちゃんが悲しむでしょう?」
「……」
「忘れたらいけない。一生背負っていかなきゃ。僕も一緒に思い出します」


 由也くんは真っ直ぐに私を見る。私は反省した、記憶を消してしまいたいなんて……。


「……うん、そだね」


 再び涙が込み上げる。由也くんに私の肩を抱いた。しばらくして夕食が運ばれてきた。由也くんは配膳スタッフからトレーを受け取ると私の前に運ぶ。私を起こして頂きましょうと箸を取る。


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