年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 その日はあのペンションに泊まることにした。相変わらず髭モジャラのオーナーは暖かく迎えてくれる。


「おおーっ、お? 今日は黒装束か」
「ええ。近くで法事があって」
「さあさあ上がって上がって」


 髭モジャラの中にも白髪が目立ち始めたオーナー、サンタになる日も近いかもしれない。初めてここに来たときから3年、時は確実に過ぎている。

 食堂に通され、お茶をいただく。差し出された宿泊申込書に由也くんは二人の名を書いた。3年前と変わらない、異なる名字。でもオーナーは突っ込みを入れなかった。

 部屋に通され、ベッドに腰掛けた。窓からはどんよりとした空が見える。梅雨の最中、今夜は星も見えそうにない。

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