年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「綾香さん、怒らないで聞いて。僕……」
あの日、由也くんはスマ乳のロビーで鎌谷からカウンターパンチを喰らい、産婦人科のメモをもらった。理由も何も分からなかった。でも鎌谷が正々堂々と名刺を出し、白昼殴りに来たのには理由がある筈だと考えた。調べようと副社長室に戻りネットでそのホームページを開く。驚いたことに住所は私のアパートと同じ町名、そしてピンときた。何故鎌谷が殴ったか……。それは私が妊娠し、中絶を選んだからだと。自分に何も相談せずに中絶を選んだことがショックだったし悲しかった。
「でもそのときホッとしてる自分もいました」
認知もする、養育費も出す、その言葉に嘘は無い。私との子供も欲しいとは思っていた。でも実際、籍に入れられはしないし父親として一緒にも暮らせない。自分の父親の二の舞はするまい、子供に寂しい思いをさせたくない、そんな無責任なことをするぐらいならいっそのこと堕胎したほうが子供のためかもしれないと。