年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「由也くん?」
「でも産婦人科に着いて綾香さんの病室を聞くのにナースステーションに寄って」
車で駆け付ける。産婦人科の自動ドアをくぐり、面会に来たと受付に告げる。事務員は産婦のご主人だと勘違いして笑顔で2階へと指差した。階段を上る、正面にはナースステーション、そしてその横には新生児室。ガラスの向こうには沢山の赤ちゃんがいた。
保育器に並べられた赤ちゃんは寝ていたり黒目を開けて天井を見ていたり様々だった。でもひとつだけ赤ちゃんのいない保育器があった。
泣き声に気付いて、ふと見上げた。ガラスの向こうに産婦さんらしき女性が赤ちゃんを抱いていた。覚束ない手つきで赤ちゃんを抱き、助産師とこちらに向かってくる。そして保育器に下ろし、助産師に教わりながら赤ちゃんの産衣を開けさせオムツを取り替え始めた。