年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 そして思った。必死に泣く赤ちゃんに必死にお世話をする新米ママ。赤ちゃんにとって一生懸命世話してくれることが一番嬉しいんじゃないかと。絶えず見守って優しく世話をするのが親の役目だと。


「赤ちゃんのお世話をする僕たちが元気無かったら赤ちゃんが心配すると思う」
「うん……」
「勿論今はまだ無理だけど、赤ちゃんのためにもパパとママは笑顔でいませんか」


 由也くんは私の手を握った。


「産んであげられなかった分、おっぱいをあげられなかった分オムツを取り替えられなかった分、絶えず忘れず笑顔で……」


 そんなの中絶した人間の勝手な言い分だと思う反面、由也くんの言葉に肩の力が抜けたのも事実だった。赤ちゃんのためにしてあげられること、それがあるのなら縋りたいって。消してしまった命のために何かをしたいって。
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