年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)


「綾香さん、お土産です」


 由也くんはそのゴルフ帰りに寄ってくれた。お饅頭屋さんで売ってるチーズタルト、結構美味しい。


「ありがと。これ、好きだよ」
「本当はもっと可愛い小物を買いたかったんですけど」
「いいよいいよ、だって皆さんオジサマでしょ?」
「うん。役員ばかりだからね、雑貨屋さんには寄れなくて」
「夕飯食べる?」
「あ、はい。じゃあ少しだけ」


 比較的若い、いや、息子程歳の離れた由也くんは車を運転したり、キャリーバッグの出し入れも手伝ったりとゴルフでは疲れて帰ってくる。ぐったりして食欲も無いみたいで、こうしてアパートに来てくれただけでも有り難かった。

 軽く食事して由也くんは帰る。玄関先でキスをする。あれからそういう行為はしていない。体の経過は順調でしちゃいけない訳じゃない。ただ何とは無しに二人で避けていた。私の体に飽きたとか、私の体は曰く付きだど言われてる気もしてそれも寂しさを感じる一因だった。これで由也くんに奥さんが出来たらどうなるんだろう。由也くんは二重生活に疲れてしまうんじゃないか、疲れた果てに私は捨てられるんじゃないかと思った。こういうとき籍がないのは不安だ。由也くんがサヨナラって言ったら終わる、私がサヨナラって言ったら終わる。いくら式を挙げたと言ったところで偽物なんだから。

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