年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 彼女の指に触れた由也くんの姿が目に浮かんだ。


「あのコを助手席に乗せたんでしょ」
「……」
「直帰で食事に連れてった?」
「……」
「もうデートもしたの? 手をつないだ? 肩を抱き寄せた? キスした?」
「……」
「もしかして、もうエッチもしたの? へえ、あのコうぶっぽいよね、由也くんが初めてとか」
「綾香さんっ」


 なんかもう止まらなかった。由也くんだって好き好んでやってる訳じゃないと思うけど、由也くんには他の女の子を見ていて欲しくない。令嬢とかならまだ許せる、私には敵わない相手だって諦めもつく。でも彼女はホワホワして仕事も出来そうにない普通の会社員で、私と変わらないのに私は諦めなきゃいけない。由也くんはだんまりを決め込んだのか喋らない。二人で黙り込む。


「僕だって」
「何」
「僕だって鎌谷さんがうらやましい」
「カマ? カマキリを羨んでどうするの。カマキリは交尾したあと捕食されるんだよ??」
「綾香さんの近くにいて支えてあげられて、結婚だって出来ます」
「だからカマはそんなんじゃないよ」
「綾香さんを幸せに出来るじゃないですかっ」

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