年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 パンフを眺める。ああ、こんな綺麗なマンション、きっと由也くんと綿菓子もこういうところで新婚生活を送るんだろうなあ……。綿菓子が白いフリフリエプロンを来て、お帰りなさい、お風呂にします?、お食事にしますか?、って玄関に駆け寄って来るのを想像した。食卓にはケチャップハートのオムライスとか。

 どうせ私は割烹着だ。芋の煮ころがしだ。


「綾香さん、僕の部屋が見たいって前に言ってましたよね」
「あ、由也くんの部屋?」


 星の写真と天体望遠鏡が並ぶ由也くんの部屋。一生足を踏み入れることのない空間。諦めていた場所。


「都内だと見れる星も限られますが、望遠鏡を置かせてもらえればいつでも綾香さんといつでも星を眺められます」
「うん、そだね……」

< 375 / 600 >

この作品をシェア

pagetop