年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 由也くんとマンションを見に行った。最初に由也くんが勧めてくれた物件、鉄塔が見えて管理人が常駐してて階下にはコンビニやキッズタウンもあるところ。分譲金額に驚いたけど由也くんは契約書にサインして一括で振り込むと言った。私は全部おんぶに抱っこも申し訳ないからせめて毎月の維持管理費だけは支払うと申し出た。

 マンションを買ってもらうことに抵抗が無くなった訳じゃない。勿論高級マンションに住んでみたい欲もあった。でもそれよりマンションを買うことで由也くんが満足ならそれでいいと思った。私に予め手切れ金を渡しておけば、いざというとき由也くんの気が楽だろうって。


「引っ越しはいつがいいですか?」
「そだね、まだ荷物もまとめてないし」


 慌てないでゆっくりしましょうか、と由也くんは言った。帰りがけにインテリアショップに寄る。家具や雑貨を見て回る。ソファに腰掛けてみたりベッド寝転がったりした。それはそれで楽しかったし嬉しかった。本当に由也くんと新居準備をしてるように錯覚する。錯覚だと自分に言い聞かせては気持ちをセーブする、そうでもしないと後が怖いと思った。いつか捨てられる、いつかいなくなる、そう覚悟しといた方がいい。
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