年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 そんなこんなで引っ越せたのは翌年のゴールデンウイーク前だった。家具を買い揃え、内装も少し手を加えた。由也くんも自分の家から望遠鏡や天体写真を持って来ては部屋に運んだ。鍵は勿論、二人で各々に持った。だから由也くんが先に来ていることもあったりして、本当に新婚みたいだった。


 そして綿菓子なコを見掛けることも無くなった。きっと由也くんが私に気遣かってデパートには連れて来なかったんだろうと思った。だから忘れていられた、由也くんが他のコと結婚することを。


「由也くん」
「何ですか」
「幸せ」
「僕もです」


 引っ越した新しい部屋でソファに掛けてキスをする。唇を重ねては離し、向きを変えてはまた重ねる。このゴールデンウイークで4周年になる、由也くんとの偽の結婚生活。引っ越して由也くんの部屋も出来て、少しだけ進展した。

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