年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 彼女は会計し品物をマイバッグに入れ、また違うスーパーに入って行く。


「うわ、また……。買い過ぎ」


 彼女はまた乳製品をチェックしては買い込んだ。会計を済ませ店を出て、ようやく駅に向かった。

 恐らく自腹で買い込んだのだろう、領収書ももらっていなかった。自費で購入して自宅で飲み比べするんだろうか。だとしたら相当に熱心だと思う。牛乳ダイスキの私ですら辟易するほどの量の乳飲料だった。
 その夜、由也くんはマンションに来た。私は気になって由也くんに尋ねた。



「ええ。武内さんは商品開発室に異動になって」
「じゃあ他社製品を見るのに買ったってこと?」
「そうですね、多分」
「……」


 綿菓子なコは、紅茶好きが高じて商品開発室にスカウトされた。短大時代、あまりの紅茶愛に彼女は紅茶の産地であるスリランカやインドの山奥まで度々訪ねていたらしい。農園のツテもあるようだった。

< 382 / 600 >

この作品をシェア

pagetop