年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 オーナーも御多分には漏れず普段は雑誌を立ち読みしていたが、気になる記事があり珍しく購入した。その雑誌の、後ろにある小さなコーナーに由也くんを見つけ驚いた。

 スーツを着ていた由也くんはスマ乳副社長として紹介されていた。長期休暇には山に行き星を眺める、愛用している望遠鏡は小学生の時に買ってもらった屈折式ので口径は僅か6センチ。それでも忙しい父親が買ってきてくれたのは嬉しかった、と。


「藤池クンが社長子息なのは驚いたが、確かにそんなそぶりはあったなと」
「例えば?」
「身なりはキチンとしてた。男子学生なんぞはボロボロのスニーカーを履いてたりするが藤池クンは割と小綺麗にしてた」
「あとは」
「立ち振る舞い、だな」
「立ち振る舞い……」
「箸の持ち方や食器の扱いとか布団の上げ下ろし。男子学生なんぞは適当な輩が多くて後片付けが面倒なんだが藤池クンはキチンとしてたな。持って生まれた性格が几帳面なのかと思ってたが、まあ多分親御さんも躾にはうるさかったんだろう」
「確かに。お父さんは厳しい方だと零してますね」


 ははは、俺の読みは当たっていただろう、とオーナーは顎髭をいじりながら笑った。


< 410 / 600 >

この作品をシェア

pagetop