年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)


『学生時代から変わってない、相変わらずピンポイントで熱血になる、普段はえらくクールなのにな』


 ふと思い出したオーナーの言葉。由也くんは普段は温厚で執着心なんて皆無に見えるけど、星のことになると夢中になる。子供のように目を輝かせて望遠鏡をいじる。可愛いと言えば可愛いが、そのマニアックの矛先が今は綿菓子に向いてるんじゃないかと思った。まさに虎視眈々とチャンスをうかがう由也くん、本命は私じゃなくて綿菓子になったんじゃないか。
 由也くんは通話を終えたのか部屋から出てくると、車に忘れ物をしたと玄関に向かった。由也くんの背中を目で追う。生地のしっかりした高級スーツ、それに負けない気品というか立ち振る舞い。成長したなあと感慨深い思いもあるけど、私は追い越されたみたいで焦っていた。

 由也くんはすぐに戻ってきた。仕事の書類かと思ったら抱えていたのは望遠鏡だった。
< 416 / 600 >

この作品をシェア

pagetop